取引履歴の請求の仕方
それでは、実際に過払い金の返還請求をするために、取引履歴の請求をするにはどうすればよいのでしょうか?
消費者金融などの貸金業者に対して、取引履歴の開示請求をするには、普通郵便、書留郵便、内容証明郵便、FAXなど「文書」で開示請求するのが良いとされています。
というのも、取引履歴の開示請求を貸金業者に対して形の残る「文書」として請求をしておけば、もし訴訟になった場合、「取引履歴の不開示に基づく損害賠償請求」の証拠としても使用することができるからです。
更に実際のケースを見てみると、債務者が貸金業者に取引履歴の開示請求をしたとしても、「取引履歴の開示義務はない」と主張する貸金業者が多いのです。
これは何故かというと、貸金業者に取引履歴の開示義務を定めている明文化された法律の文言規定が存在しないからです。
しかしながら、信義則上、貸金業者には取引履歴の開示義務があると捉えられています。
金融庁の事務ガイドラインでも、貸金業者は「顧客等又は顧客等の代理人から取引履歴の開示を求められた際には、個人情報保護の観点から、開示の求めをする者が開示を求められた取引履歴に係る顧客等本人又は本人の代理人(以下「本人等」という。)であることを十分かつ適切に確認し、その際、特に、以下の点に留意して、本人等に過重な負担を課するものとならないようにすること」とされていますので、本来は開示請求に応じるべきなのです。
ところが、これもガイドラインでしかないので、残念ながら強制力がないため、開示請求に応じない貸金業者が存在するのです。
取引履歴の開示については、裁判で係争中のものも含めて、取引履歴の開示義務を認める、認めないで、二分されているのが現状です。しかしながら、今後、最高裁で貸金業者の取引履歴開示義務を認める判決が出るであろうと一般的にはされています。