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最新記事【2007年05月26日】

以前に貸金業者を利用していたことがあり、過払い金返還請求が発生
している可能性のある方は、実際に過払いが発生していたかどうかを確認する必要があります。

この過払いの発生の有無を確認するには、貸金業者から自分の取引履歴を取り寄せて、利息制限法に沿って引き直し計算をしなければなりません。

過払い金返還請求が発生しているかどうかを確認するには、一重に「利息制限法に定められた利息以上の利子を貸金業者に対して払っていたかどうか」にかかっています。このため、一概に返済していた期間や借りていたお金の大きさなどによって、過払い金返還請求が発生しているかどうかは分かりません。

しかしながら、一般的に5年以上貸金業者に返済していた期間があれば過払い金返還請求が発生している可能性があると言われています。もしも7年以上貸金業者との取引があれば過払い金返還請求が発生している可能性が非常に高いとされていますので、該当する方はすぐにでも確認するようにしてください。

ただしここで注意していただきたいのは、利息制限法では元本10万円未満は年率20%としていますので小口の借金を頻繁にしているケースでは、もし取引の期間が5年以上であったとしても、過払い金返還請求が発生しないケースも十分にあります。(このような10万以下の比較的小額な借り入れは、利息制限法と出資法の上限利息の差が少ないからですね。)

また、実際に過払いが発生していたとして、債務者から貸金業者に対して過払い金返還請求をすることは、債務者自身で可能です。しかしながら、実際のところを見てみると、専門的な知識が必要とする場合も多いので、債務者だけで、過払い金返還請求をするのは、難しい部分もあります。

債務者自身だけで過払い金の返還請求が難しいのは、専門的な知識に加えて、債務者が自分の過払い金返還請求をしようと思って、貸金業者に過去の取引履歴の開示請求をしても、貸金業者が取り合ってくれなかったりする場合もあるからです。

更に、貸金業者が取引履歴を開示したとしても過払い金返還請求をなかなか返還してくれないケースが多いと言われているためです。

他の手段としては債務者が民事訴訟をするという手段もあることにはあるのですが、訴訟をするというのも、時間的にも労力的にも負担が大きいので、やはり法律の専門家である弁護士や司法書士に過払い金返還請求の依頼をするというのが一般的のようです。

それでは、実際に過払い金の返還請求をするために、取引履歴の請求をするにはどうすればよいのでしょうか?

消費者金融などの貸金業者に対して、取引履歴の開示請求をするには、普通郵便、書留郵便、内容証明郵便、FAXなど「文書」で開示請求するのが良いとされています。

というのも、取引履歴の開示請求を貸金業者に対して形の残る「文書」として請求をしておけば、もし訴訟になった場合、「取引履歴の不開示に基づく損害賠償請求」の証拠としても使用することができるからです。

更に実際のケースを見てみると、債務者が貸金業者に取引履歴の開示請求をしたとしても、「取引履歴の開示義務はない」と主張する貸金業者が多いのです。

これは何故かというと、貸金業者に取引履歴の開示義務を定めている明文化された法律の文言規定が存在しないからです。

しかしながら、信義則上、貸金業者には取引履歴の開示義務があると捉えられています。
金融庁の事務ガイドラインでも、貸金業者は「顧客等又は顧客等の代理人から取引履歴の開示を求められた際には、個人情報保護の観点から、開示の求めをする者が開示を求められた取引履歴に係る顧客等本人又は本人の代理人(以下「本人等」という。)であることを十分かつ適切に確認し、その際、特に、以下の点に留意して、本人等に過重な負担を課するものとならないようにすること」とされていますので、本来は開示請求に応じるべきなのです。

ところが、これもガイドラインでしかないので、残念ながら強制力がないため、開示請求に応じない貸金業者が存在するのです。

取引履歴の開示については、裁判で係争中のものも含めて、取引履歴の開示義務を認める、認めないで、二分されているのが現状です。しかしながら、今後、最高裁で貸金業者の取引履歴開示義務を認める判決が出るであろうと一般的にはされています。

実際の過払い金返還請求を目的として、貸金業者に対して過去の取引履歴の開示を求めたとしても、全部の期間ではなく、一部分の期間しか開示されないケースがあります。

貸金業者に対して、開示できない理由を聞いてみると、1)社内規定上、開示できないことになっている、2)10年以上前の取引記録は、既に廃棄処分してしまった、などという言い訳がおおいようです。

もしもあなたが貸金業者に対して開示請求をしても、貸金業者から取引履歴が開示されない場合には、監督庁所轄の財務局や都道府県金融課などに行政指導をして貰うように働きかけます。(これは、そこそこ結構効果があるようです)

監督庁から行政指導を受けると取引履歴を開示する貸金業者もあるのですが、なかにはたちの悪い貸金業者もあり、監督庁から行政指導を受けても、一切開示をしないところもあります。

この場合の過払い金返還請求の対策手段としては、「訴訟」をする以外にはありません。
基本的に貸金業者としては、自社の利益を損なうことになる過払い金返還請求は、もし存在していたとしてもそれを債務者に返還したくないというのが本音のようです。

このため、取引履歴の開示請求に真摯に応じてくれない場合には、粘り強く貸金業者と交渉していかなければなりません。

消費者金融業者などの貸金業者に取引履歴を請求して、首尾よく取引履歴を開示してもらったら、利息制限法に基づく利息を上回って返済していたかどうかを確認する必要があります。

もしも、その取引履歴の計算書が貸金業者の約定利率に基づくものであり、利息制限法を越えて出資法ぎりぎりの利率での貸付けであった場合には、過払い金返還請求が発生している可能性があります。この際には、引直計算をする必要があります。

引直計算といっても紙と鉛筆で計算をするには、非常に手間が掛かりま。最近では、ネット上に引直計算の専用ソフトがフリーでダウンロードできるサイトもありますので、これらのソフトを使って計算するのが最も手っ取り早いです。

また、他にも過払い金返還請求に関連するマニュアル本なども出版されていますので、これらの書籍に付属で付いてCD-ROMなどにも似たような計算ソフトが付いていたりしますので、それを利用するのも手です。

債務者がお金を借りる際に、貸金業者と基本契約を締結する場合には、通常「極度額」や「借入限度額」が設定されているはずです。

利息制限法では、所定の利息を定める際の元本は、基本契約に基づく「極度額」または「借入限度額」を基準にしています。

例えば、借入限度額が100万円の包括契約を締結した場合、実際に借りた金額が100万円未満であったとしても、18%ではなく15%になります。
※利息制限法:元本10万円未満は年率20%、元本10万円以上100万円未満は年率18%、元本100万円以上は年率15%の利息で見ています。

また、基本契約を結ばずに、極度額や借入限度額が定められていない個別契約の場合には、元本が10万円未満から10万円以上になれば利率も20%から18%になり、100万円以上になれば18%から15%になるということになります。

引き直し計算をする上で、是非とも知っておいていただきたいのが、過払い金返還請求に対しても利息は発生するということです。(つまり、簡単に言うと、多く返済してしまった過払い金にも利息が発生するということです。貸金業者に債務者が貸していたということになりますね)

具体的な利息について言うと、過払い金の利息は民法404条で規定されている5%が一般的であるとされています。しかしながら、判例によっては商法514条の規定する6%とするものもあります。

過払い金の返還請求をする際には、貸金業者に大して、この「利息分」も請求しておくのが基本です。

何故かと言いますと、貸金業者と和解をする際に利息を免除してやる代わりに、過払い金は全額返還して貰うといった交渉も可能になるからです。

また、どんなに貸金業者に対して取引履歴の開示請求を粘り強くしても、開示されない場合には、訴訟を起こすことになりますが、その際には「推定計算」という方法で引き直し計算をすることになります。

推定計算では、債務者の記憶に基づいて引直計算をすることになります。ここで「そんな詳しく覚えているワケないよー」と思われる方が多いと思いますが、推定計算の場合でも非常に正確である必要性はありません。

たとえ、返済日の数日のズレや数万円の返済金額の違いがあっても問題はないのです。

本当の過払い金の全額よりも推定計算のよって求めた金額の方が多い場合には、自社の損になるのは貸金業者も嫌なので、間違いだと指摘してくるはずです。ですから、推定計算をする場合は実際の過払い金返還請求額よりも多くなるようにしておきましょうね。

過払い金の返還請求をする際に、最終的には裁判をしないと過払い金が返還されないかというと、そうでもありません。

もちろん、貸金業者にもよりますが、裁判をせずとも過払い金返還請求の返還に応じる業者もあります。(貸金業者の方も、裁判にかかる費用や手間を考えると、示談して和解に応じたほうが得だと考えるケースもあるということです)

貸金業者と裁判をせずに和解する場合、過払い金全額の60%-90%程度に減額した金額で和解するケースが多いとされています。

但し、最初から債務者が和解を目標にする必要は全然ありません。この場合、裁判にかかる手間と比較して、どの程度の減額であれば和解してもよいかと思えるかは、債務者の判断によります。もしも「絶対に和解などせずに、全額過払い金を返還して貰いたい」と考える際には、和解などせずに裁判に打ってでるべきです。

和解するかどうかは、どのくらいの減額の割合ならば、自分で納得できるかと加味した上で考える必要があります。

貸金業者との和解を進める場合には、通常、貸金業者の方から減額を主張してきます。

減額を受け入れるかどうかは債務者の判断によりますけれども、余分なお金を返済請求していたのは貸金業者の方であり、裁判では貸金業者の方が不利ですので、簡単に貸金業者からの減額要求に応じる必要はありません。

過払い金をすぐに必要としない場合、つまり、現在の生活に余裕がある場合には、減額要求に応じず強気の交渉を進めていきましょう。

それでは、過払い金の返還請求に関する裁判を貸金業者に対して起こす際に、簡易裁判所と地方裁判所とのどちらで起こすべきかということになりますが、これは、訴額、つまり過払い金の返還請求額が140万以下か以上かによって決まります。

具体的には、140万円以下の場合には、簡易裁判所で裁判を起こすことになります。140万円以上の場合には地方裁判所と決められています。(法律的には、事物管轄というものです)

またここで言う訴額とは、貸金業者に対して請求する額のことであり、請求する元本に付した利息や遅延損害金は含まれませんので、注意してください。

加えて、裁判を起こす場所ですが、過払い金の返還債務は持参債務(原告である債務者の住所地で支払うべき債務)ですので、過払い金返還請求訴訟は原告である債務者の住所を管轄する裁判所で起こすことができます。

ここでもう一つ付け加えておくと、貸金業者が交付する契約書には一般的に訴訟になった際の管轄の合意として「貸金業者の本店所在地を管轄する裁判所とすることに合意します」書かれている場合が多いこともあります。

こうなると、債務者が住んでいる近くの裁判所で裁判を起こすことかできないのか、と思いますが、現在ではこの約款による管轄の合意は無効であると考えられているので大丈夫です。

この理由としては、法律的に、専属的合意管轄ではなく、競合的管轄合意であると考えられているためであり、たとえ契約書の合意が存在していても、原告の住所地を管轄する裁判所に訴訟を提起することができます。

では、実際に裁判を起こす際の要求として、過払い金返返還請求の訴訟では、返還請求に加えて、弁護士費用や取引履歴の不開示に基づく損害賠償請求をすることもできます。

しかしながら、全ての場合に損害賠償請求も認められるワケではなく、損害賠償請求が認められるかどうかは場合によって異なります。

例えば、貸金業者に対する取引履歴の不開示が違法行為であると認められるには、一般的に最低でも文書で3回以上、口頭でも3回以上は請求している必要があるされています。(これも、きちんと履歴を証拠として残しておく必要がありますね)

債務者からの再三の請求にもかかわらず長期にわたって、貸金業者が取引履歴の開示を拒否した場合には、損害賠償請求が認められる可能性があります。(これも可能性という意味ですので、100%損害賠償請求が認められるわけでないということを留意してくださいね)

なお、一般的に、弁護士費用は10万円程度、慰謝料は10〜30万円程度が目安です。

他の場合としては、過払い金の返還請求をしている貸金業者が他の貸金業者などと合併をしてしまっているというケースも存在します。

このような場合でも、債権と債務は全て合併後の新会社に承継されるので、合併前の会社が持っている過払い金返還返還債務も合併後の新会社が承継することになりますので、合併後の新会社に裁判を起こせばよいことになります。

過払い金は、グレーゾーン金利と呼ばれる2つの法律が定めている上限利息の差から生み出されています。

具体的にご説明していきますと、1つ目の法律である利息制限法では、利息の制限を元本10万円未満は年率20%、元本10万円以上100万円未満は年率18%、元本100万円以上は年率15%としています。この利息制限法では、制限利息を超過している部分は無効と定めています。

一方で、2つ目の法律である出資法では上限利率を年29.2%としています。

簡単に並べて見ますと、

利息制限法:元本10万円未満は年率20%
      元本10万円以上100万円未満は年率18%
      元本100万円以上は年率15%

出資法  :年29.2%


明らかに、出資法の上限利息の方が高いですね。つまり、債務者にとって出資法の方が負担が重く、貸金業者にとっては有利なワケです。

また、法律の罰則規定を見てみると、利息制限法は強行規定であるものの罰則がありません。比べて、出資法においては、上限利率を超えた場合は刑事罰の対象になります。(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科)

このように、利息制限法の上限利率から出資法上限利率の間の金利をグレーゾーン金利といい、多くの消費者金融業者などの貸金業者が出資法の上限利率に近い金利で融資しています。(貸金業者としては、出資法に基づいて貸し出しをした方が、利益が得られるからですね)

利息制限法は1954年に施行されており所管官庁は法務省、出資法は同じく54年に「ヤミ金融」を取り締まるために制定され刑事罰もあり所管官庁は法務省と金融庁になっているために発生しているものがグレーゾーン金利です。(そもそも論としては、2つの法律を作らずにしておけばよいのにとも思いますね)

ここでもう一つ重要な過払い金返還請求に関する重要な用語として、「みなし弁済規定」という言葉があります。

これは、利息制限法の上限利息を超過する利息契約は無効でありますが(これが過払い金返還請求の理由ですね)、一方で貸金業規制法43条では、この利息制限法の超過利息であっても、債務者が「任意に利息として支払った場合は有効な利息の弁済とみなす」と定めています。

このため、貸金業者の中にはこのみなし弁済規定を利用して、利息制限法を超過した部分の弁済を有効であると主張する貸金業者も少なくありません。

しかしながら、みなし弁済規定が適用されるには、以下の要件を全て満たす必要があります。

1 貸主が、登録を受けている貸金業者であること
2 借主が、利息と認識して、支払ったこと
3 借主が、任意に支払った利息であること
4 業者が契約の際に、貸金業規制法17条の要件を満たす書面を交付している
5 業者が弁済の際に、貸金業規制法18条の要件を満たす受取証書を、直ちに交付している

貸金業者が、裁判において、みなし弁済を主張するには、みなし弁済規定を満たしているということを証明しなければなりません。

しかしながら、裁判所が要件を厳しく解釈するようになっているので、実際に要件を満たしている貸金業者は少ないようです。

みなし弁済規定を満たしていない場合には、利息制限法を超えた利息の返還を請求できますので、過払い金返還請求をしている債務者の方は堂々と返還請求を主張してください。

過払い金返還請求

過払い金返還請求:過払い金返還請求の基礎知識や引直計算の方法、訴訟方法などを簡単にご説明します。過払い金は返還請求することができますから、きちんとした手続きを踏んで取り返しましょう。過払い金返還請求やグレーゾーン金利など、過払い金返還請求に関連するの重要ポイントを解説。過払い金は必ず返還してもらいましょう。過払い金返還請求で頑張りましょう!


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